鯨オーケストラ

表紙買いした本ですが、結果大満足です。

静かな世界観で、所々にじんわりとさせられる言葉の数々があり、とても自分好みなお話でした。

 

印象的なところでいうと、序盤に主人公が、久しぶりに美術館を訪れます。

その際「やはり、美術館から遠ざかってはいけない。こうした時間を過ごすことは、繰り返される日常の中に組み込まれているからこそ意味がある。」と思う内容があります。

 

自分にとってそれは本ですが、少し読書から離れていた時に、再び本を手に取った時の喜びと同じで共感しました。

普通に日常を暮らしていたら、ある程度ルーティーン化した生活に窮屈さを感じることもあります。そんななかで心踊るのは、自分が想像すらできなかった未知のものに出会うことです。

こちらの本がまさに、なんというか得体の知れない大きなものに引き込まれていく心地よさを感じさせてくれる一冊でした。